みなさんこんにちはKENTです。
みなさんはどのような思春期を過ごしましたか?
私自身、達観した性格で、よくあるような思春期を過ごしていたのか自分ではわかりませんが、きっと他人から見れば思春期だと思うようなこともあったでしょう。
時に興味深く、時に狂気的な思春期をテーマに置く作品が世の中にはあります。
あなたの助けとなれるレビューがここにはあります。
それでは早速紹介していきます。
タイトル:惡の華
作者:押見修造
巻数:全11巻
連載誌:別冊少年マガジン
あらすじ
クラスの美少女・佐伯奈々子にひそかに想いを寄せる春日高男。ある日の放課後、出来心により彼女の体操着を盗んでしまうが、その様子は嫌われ者の女子・仲村佐和に目撃されていた。窮地に陥り、仲村からの無茶な要求に翻弄されるなか、意外なきっかけから佐伯と付き合うこととなり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。そんな彼に呼応するかの如く、佐伯も内に秘めた意思を徐々に示すようになる。
ストーリー(19点)
平凡な家庭に生まれた主人公ですら、いや平凡だからこそ思春期特有の感情が芽生えるのかもしれないが、言葉にすることも難しい感情を作品として昇華しているのは非常に素晴らしい。
誰も共感できようのない物語であるのに、誰しもが共感できるかのような展開で、感情移入ができる不思議な作品。
ヒロインが「クソムシ」と発言する場面はかなり衝撃的であり、かつこの作品を象徴する場面となっているの面白い。
作画(18点)
かなりレベルが高い。
登場人物の深層心理が表情に表れているような作画で、人間の恐ろしさ、愚かさを余すことなく表現できている。
また、人物だけでなく、絶望や憎悪といった概念の表現についても工夫がみられ、この作品における最高の作画となっていた。
独創性(18点)
ボードレールの「悪の華」から影響を受けて作品にしたのか、作者にもともとこのようなアイデアがあって、それが「悪の華」によって作品に昇華されたのか、それは定かでないがどちらも傑作であることに疑いの余地はない。
「悪の華」が「惡の華」になることで、象徴主義だけでなく物質主義の側面も持ち合わせた作品となっている。
キャラクター(20点)
思春期の心情や、アイデンティティを物語のテーマとして扱っているだけあって、登場人物の動機づけが明確になされていた。
登場人物が少ないことで、閉鎖的なコミュニティも演出されており、何にも知られていないのにすべてを知られているかのような恐ろしさがあった。
影響力(14点)
テレビアニメ化だけでなく舞台や実写映画化もされた作品で、決して大衆受けする作品ではないものの一定の評価を得た。
暗く、難しいテーマを扱っている作品としては広く知られた作品で、尖った作品の多い別冊少年マガジンの中でも異彩を放つ作品。
総評
今回紹介した「惡の華」の総得点は89点でした。
高校生の頃、友人から譲り受けた作品であり個人的には思い入れのある作品ですが、それと同時にいざ読んでみるとその友人のことがすごく心配になる作品でした。
ただ、その頃にしかこの作品に対して感じることができない部分もあっただろうし、最近になって改めて読むとまた違った感情にもなれる作品でした。
良くも悪くも、人に話せるような青春を送りたかったと心から思います。
気になった方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
それではまた次のレビューでお会いしましょう。
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